エリート発掘・養成プログラム「PDP」とは?
今回の記事では、私が実際にスペインのバルセロナにて見てきたバスケのアンダーカテゴリの強化を目的とした練習会についてご紹介していきたいと思います!
日本では、日本の強豪クラブの練習を見ることはできても、海外の協会主導の練習会の様子はYouTubeでは長い時間見ることはできませんし、文面でもなかなか見つけることは出来ないと思います。
本記事を読むことで、世界第2位のスペインが、バスケのレベルを強化している方法を学ぶことが出来ます。
是非最後まで読んで頂き、自身のチームで活かせるポイントを見つけて頂き、更なる日本のバスケのレベルアップに繋げて頂けると考えております。
日本ではミニバスに当たる、9歳~10歳の子どもたちを対象とした練習会だったのですが、非常にレベルが高かったです。また優秀なコーチ陣がそれぞれ創意工夫して考えてきた練習メニューは、子供たちが楽しくバスケの基礎を習得できるようにと選手目線で考えられており、非常に勉強になるものばかりでした。
それでは一緒に見ていきましょう!
(※世界ランキングについては、当初執筆時点の2019年4月時点のものを使用しております)
1.概要
PDPとは「Programa de Detección y Perfeccionamiento 」の略であり、検知と発見のプログラムと訳します。カタルーニャ地方の優秀な12歳以下の選手をピックアップし、週に1回各会場で練習が行われています。カタルーニャバスケットボール連盟主導で行われており、その規模は男女約1000人を対象とし、全24会場で実施されています。
2.練習日時・対象選手のレベル
日時:毎週月曜日18時30分~19時45分の前半組と19時45分~21時00分の後半組に分かれて練習をします。
会場:カタルーニャバスケットボール協会横の体育館、3面で同時に練習が可能。
対象:男子→9歳が2組、10歳が2組、女子→9歳が1組、10歳が1組 上記計6組
ただし、この時点では日本のミニバスケットボールをやっている子どもたちと大差ないと感じます。それはまだ、オープンスキルではなく、クローズドスキルの範疇でしか無い為だと考えます。
このカテゴリではまだ、バスケットボールを行う前の下準備、という段階でしかなく、クローズドスキルの徹底からオープンスキルの初歩習得を目安としていると考えます。
3.練習内容
クローズドスキルの基礎定着、と申し上げましたが、「はい、じゃあその場でバックビハインドドリブル50回ミスなくやるんだよ」とか「シュート5本連続決められなかったら腕立て伏せだよ」とか、そのような練習の為の練習は一切しません。基礎を定着させる為に反復練習が必要だとしても、そのような練習は絶対にしません。
スペインの練習では、常に「何故そうするか」について考えさせる練習を行います。そして、分かるまで何度も丁寧に確認しながら進めます。
「自然と」というキーワードがとても重要です。技術指導が理に適っているから、技術が自然と身に着くのです。
この年代の子どもたちは、「習うより慣れろ」、「見よう見まね」でどんどんスキルを吸収していきます。だからこそ、この年代のうちに「正しいスキル」を身に付けさせてあげることが、今後の選手としての伸びしろに大きく影響してくるのです。
以上の練習メニューを考えてくれるのは、とても優秀な指導者たちです。エネルギッシュな子どもたちに負けないくらいエネルギッシュな彼らですが、一度練習メニューについて質問をすると、お腹いっぱいになるくらいの説明が返ってきます。そして、それらの説明は実に論理的であり、その「楽しい」練習は「実際の試合に役立つように」考え抜かれていることを教えてくれるのです。
次の項目では、その優秀な指導者たちが、どのようにして小学生の子どもたちに「バスケとはどういうスポーツなのか」を伝えているか、について触れていきたいと思います。
4.豪華なスタッフ陣
指導に当たるコーチ陣は各カテゴリでの代表指導を務める監督や自身でセミナーや講習会(練習会)を行うようなとてもレベルの高い人たちばかりです。普段はJUNIOR(U-18カテゴリ)やCADET(U-16カテゴリ)など、更にレベルの高い選手を相手に指導をしています。
彼らはスペイン人らしく、とにかく情熱的で大声でしゃべり続けるパワフルな指導且つ論理的な説明を行います。それは小学生の子どもであろうが全く関係ありません。ただし、メッセージの伝え方が全く違うのです。その差にとても驚きました。
スペインには高度な専門知識を持ち合わせながら、相手によって伝え方を変えて指導できるコーチが沢山存在します。しつこいくらい言葉によって指導を行う為、その結果、選手自身もコミュニケーション能力が高くなり、「自分の考えを相手に伝える」ということが何の苦も無くできるようになっていくのだと考えます。
5.まとめ
如何でしたでしょうか?
エリート養成プログラム「PDP」について、少しでも理解を深めて頂けましたでしょうか?指導のキーワードは「自然と」、「目的を持って」、「論理と感覚の融合」と言えます。指導者の伝え方次第で、選手の理解度は大きく変わってきます。逆に、選手もコーチの言おうとしている意図をくみ取れるようにしなければなりません。
スペインのバスケにおいて、良い指導者や良い選手が継続的に生み出される好循環のシステムについてご説明しました!
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スペインに学ぶ体系的バスケ指導方法 〜エリート発掘・養成プログラム〜「PDP」