バスケ シュート(フィニッシュ)の種類
本記事では、バスケットボールにおいて最も基礎的な技術の1つである「シュート」についてご紹介していきたいと思います。
バスケにおいて得点を取る、ということは極めて重要な価値を持ちます。
どんなに華麗なドリブルができたとしても、どんなに美しいパスが通ったとしても、どんなに相手のボールを奪うディフェンスができたとしても、全てのボールをリバウンドで拾い続けることができたとしても、シュートを決めなければ試合に勝つことはできません。
ご存知のようにバスケは他のスポーツに比べて得点が入りやすく、沢山のゴールを見ることができます。その為、サッカーではFWは1点でも取れば仕事をしたと見做されますが、バスケの場合、エースと呼ばれる選手は少なくとも20点取らないと、ファンから野次られる対象になります。得点が入りやすいからこそ、得点を取れなかった時の反響が大きいのです。
得点を取るためには、「ボールを貰って」、「(ディフェンスがいれば)相手をかわして」、尚且つ「シュートを決めきる」という3ステップが必要です。
以下の記事では、その最後の「決めきる技術」(この技術のことを特にフィニッシュと呼びます)にはどのようなものがあるのか、具体的には、シュートの種類やそのシュートを使う状況、シュートを使う際の注意点やコツを中心に解説していきたいと思います。
早速シュートの種類の説明だ!…と行きたいところですが、皆さんは「シュートによって得点数が異なる」ということはご存知でしょうか?
得点が異なるシュート
一般的にバスケのシュートは成功すると2点を獲得することができます。しかし、以下の2種類のシュートに関しては、シュートが成功した際に得られる特典が異なります。
3ポイントシュート
スリーポイントラインよりも後ろ側から打つシュートのことです。このシュートが決まった場合、3点が加算されます。とても遠い位置からのシュートなので、その分成功確率は下がります。プロの良いシューターと呼ばれる選手でも、この3Pシュートは40%成功することができれば素晴らしいといわれます。
しかし、NBAのシューターは練習では100本中95~98本決めることが普通と呼ばれています。一体何本打てばそれだけ入るようになるのでしょうか…?
フリースロー
主にシュートに対するファールを受けた場合に打つことのできるシュートです。このシュートが決まった場合、1点が加算されます。バスケにおいて唯一、誰にも邪魔をされないで打てるという特徴があります。
このシュートは90%決めることができれば良い選手と言われます。ただし、これも練習では50本連続で決めることができる選手は沢山います。プロでなくても決められる人は沢山います。
試合では疲れている状態や、また、試合終盤の1点を争う場面で緊張している状況で打つことが多いです。試合をイメージして1本ずつ丁寧に打つ習慣を身に付けましょう。「試合の勝敗に直結する」ことが多いシュートです。
主にペイント内でのフィニッシュで用いるシュート
レイアップシュート
バスケットに向かって走り込み、片手でリングにボールを置いてくるようにして放つシュートです。あまり知られていないかもしれませんが、アンダーハンド・レイアップとオーバーハンド・レイアップ、パワー・レイアップの3種類があります。
- アンダーハンド・レイアップ
手の平にボールを乗せた状態で、腕を上に伸ばしながら指先からボールをそっと離すようにして放ちます。
使われる状況
速攻やドライブ後など、スピードに乗っていて、前方や横にディフェンスが存在しない場合に使われます。
注意点
スピードに乗っている状況が殆どであるため、如何に柔らかくそっとボードに当てることができるかがポイントになります。なかなかスピードが殺せないという場合にはボードに当てず、直接リングの前縁を越えるかどうかぎりぎりのところに置いてくるようにすると良いです。「ボードに置いてくるイメージで」とよく言いますが、それではスピードは殺せません。スピードのある選手は力を如何に抜けるかがポイントです。
- オーバーハンド・レイアップ
オーバーハンド・レイアップとはボールを持っている手の平がゴールに向いた状態でボールをコントロールし、腕を上に伸ばしながら指先からボールをそっと離すようにして放ちます。
使われる状況
ディフェンスが自分の前方もしくは横に存在している場合で、シュートに高さを出す必要がある場合。
注意点
このレイアップのメリットはディフェンスがいる状況でもステップを変えずにレイアップに持ち込める点です。その為、スナップを利かせる必要はなく(それは別の技術となります)、あくまでも勢いを殺すように「そっと離す」ことがポイントです。
- パワーレイアップ
肩幅より少し広めに両脚のスタンスを取り、バックボードに正対するように身体を向けます。身体とバックボードが平行になるイメージを持つと良いです。その状態からディフェンス側の肩と腰をディフェンスに当てるように跳び、もう一方の手でシュートを打ちます。シュートはオーバーハンドレイアップやフックシュートのようにボールを確りとコントロールできる形で打つことが一般的です。
使われる状況
ディフェンスが自分の横に存在し、且つ接触している状況でシュートを打ちたい場合。
注意点
このレイアップのメリットはディフェンスとの接触がある状況でもシュートを打つスペースを自分の身体を使って創り出し、シュートを打つことができる点です。しかし、両足で踏み込むステップとなります。その為、前者の2つとは若干ステップを変える必要があります。
レイバックシュート
リングの下を逆サイド方向に通り抜けながら、リングが自分の身体の後ろにある状態で放つレイアップシュートです。
シュートを放つ手はエンドライン側の手です(右からドライブしたら右手)。
リングの下を通って逆サイドから打つ為、ディフェンスはリングが邪魔でブロックに跳びづらくなります。
使われる状況
相手ディフェンスが自分より大きく、またレイアップシュートを打とうとしたが抜ききれなかった場合。
注意点
シュートを打つ手の側の肩をコートの内側に向けて巻き込むようにしながら、バックボードにぶつけるようにシュートすると確率が上がります。
フィンガーロール
ボールを手の平から指先へと転がすようにコントロールをして、ボールに緩やかな回転を加えるシュートです。この技術によって、スピードに乗った状況でも「フワッ」と軽く浮かせるようなシュートを放つことができ、得点確率が高まります。
スクープシュート
アンダーハンド・レイアップのボールを高く上げてアーチをかけるシュートです。
使われる状況
ディフェンスのブロックを避ける為に用います。
注意点
アーチを余計に高くする為、難易度が非常に高く、相当な練習が必要です。
フローターシュート
オーバーハンド・レイアップのボールを高く上げてアーチをかけるシュートです。
スクープシュートとの違いは、スクープシュートがアンダーハンド(下手から)であるのに対して、フローターシュートはオーバーハンド(上手から)打つ点です。
使われる状況
ディフェンスのブロックを避ける為に用います。
注意点
アーチを余計に高くする為、難易度が非常に高く、相当な練習が必要です。
(スクープとフローター、どちらを使うかは好みです、コントロールしやすい方を磨いていきましょう!)
リーチバックシュート
前述のバックシュートとは逆の手(エンドラインから遠い手)でリリースするレイアップシュートです(右からドライブしたら左手でレイアップ)。
使われる状況
ディフェンスより遠い側の手でシュートを打つことになる為、レイバックシュートよりもさらに安全にシュートを放つことができます。
注意点
身体の進行方向とは逆にボールをリリースする為、力加減が難しいシュートです。
ダブルクラッチシュート
レイアップシュートを打つと見せかけて跳んだ後、ブロックに跳んできたディフェンスを空中でかわして、着地する前にボールを離すレイアップシュートです。
使われる状況
自分のディフェンスが横あるいは後ろから来ていて、ブロックに跳んでくると予想できた場合、あるいは既に跳んでいる場合に用います。
注意点
実際に跳んできてから対処することはとても難しいので、あらかじめ予想することが大切です。ボールを持ち変える際になるべく下に下げず、胸の前を移動させることがポイントで、体幹を上手く使った安定したシュートを放つことができます。また、無理にこのシュートを狙わず、跳ぶ前にフェイクを入れることも得策です。
タップシュート
シュートを打った後、リングやバックボードに当たって弾んだボールを、掴まずにそのまま指先で弾くようにして打つシュートのことです。選手の成績にはオフェンスリバウンドと得点の両方がカウントされるので、とてもお得なシュートです。
ダンクシュート
バスケット(リング)にボールを直接たたきこむシュート。バスケの醍醐味の一つです。175センチでこのシュートを成功させるには、垂直跳びで1メートル程度跳ばなくてはなりません。世界の中には、170センチ未満でも出来る選手がいるようです。
(参考)プットバック
シュートが外れたボールをオフェンスリバウンドした際に、空中で取ったボールをそのままダンクするシュートのことです。一度外れたボールを「元に戻す(put back)」という意味から来ています。このシュートが出来る選手は日本ではそうそう見かけることはできません。成功すると、とても盛り上がります。
アリウープ
空中に跳んだ状態でパスを受け取り、着地せずにそのままダンクするシュートです。ダンクはできなくとも、空中でキャッチしてそのまま着地せずにシュートを決めるだけでも相当盛り上がります。セットプレーなどで時々見られるシュートです。シュートの技術は勿論のこと、正確なパスも要求される高難度のプレーです。
フックシュート
身体をリングに対して垂直あるいは半身に開いた(60度ほどに傾けた)状態で、片手でボールをコントロールしながら、手首のスナップを利かせて放ちます。
使われる状況
タイトなディフェンスによって、リング(バックボード)に対して正対出来ない場合によく使われます。
注意点
その他のシュートと違って身体の真横からシュートを放つ特殊なシュートの為、指先と手首の感覚が非常に大切になります。マイカンドリルという練習で、その感覚を日々養うと良いでしょう。
(参考)ベビーフック
フックシュートの1種で、シュートモーションを小さくして素早く打つシュートです。
使われる状況
ディフェンスが自分よりもかなり大きな選手だった場合にブロックを避ける目的で用いられます。
注意点
ジャンプしながらコンパクトに狙うフックシュートの為、焦らずに確りとコントロールすることが大切です。イメージとしては、打つ方の肩から真上に腕を上げながらスナップを利かせます。
(参考)スカイフック
フックシュートの1種で、リングよりも高い打点から斜め下に振り下ろすように放つフックシュートのことです。ボールが手から離れた点が最高到達点の為、それ以降そのボールに触れてしまうとゴールテンディングというバイオレーションになり得点が認められます。したがって、理論上はブロックが不可能です。これはNBAで歴代通算最高得点記録を持つ伝説のセンター、カリーム・アブドゥルジャバーが必殺技として使っていたシュートです。
如何でしたでしょうか?
ゴール下のフィニッシュの技術だけでもこれだけの種類があります…すべてマスターできるまで練習あるのみ!です。
しかし、シュートはゴールに近いところで打てるとは限りません。ディフェンスも必死でシュートの成功を阻止しようと邪魔をしてくるからです。そんな時、ゴール下でしかシュートが決められないとどうでしょう?手詰まりです。試合終了です。
そんな状況に陥らない為にも、次に紹介する「ゴールから遠くても決められるシュート」をマスターして、鮮やかに得点を奪っていきましょう!
ゴールから距離がある場合に選択するシュート
ジャンピングシュート
ゴールから距離がある時に、真上にジャンプして放つシュートです。
ジャンプが最高到達点に達する「前」にボールをリリースするシュートのことです。
ジャンプシュート
ゴールから距離がある時に、真上にジャンプして放つシュートです。
ジャンプの最高到達点に達したジャストのタイミングでボールをリリースするシュートのことです。
フェイドアウェイシュート
このシュートは斜め後方にジャンプして放つシュートです。
前述のとおり、通常のジャンプシュートは真上にジャンプしてボールをリリースしますが、このシュートでは少し後ろに跳ぶ点がポイントです。
使われる状況
より安全に、ディフェンスにブロックをされないようにスペースを作る為です。
注意点
後ろにジャンプしてシュートを放つため、身体すべてが後傾してしまう選手が多くいます。また、ゴールにボールが届かないといった理由で、上半身に力が入ってしまいがちです。上半身は確りと起こした状態で、リラックスすることを心がけましょう!
まとめ
以上、簡単に説明しましたが、読んだだけではシュートが上手くなるわけではありません。ただ、其々のシュートを決める技術を持っていたとしても、「それをどんな状況で使うと良いのか」、「どの点に気を付けて使うのか」という点を疎かにしてしまうと、バスケの試合のレベルが上がるにつれて通用しなくなってきます。
頭で使い方を理解して、感覚で技術を習得することが何よりも大切です。身体が疲れている時には、頭を使ってバスケが上手くなるように、どんどん知識を吸収していきましょう!