本記事では、私が実際にスペインのクラブで見てきた「生の」練習メニューをそのまま掲載しております。
是非皆様のチームでもこの練習をそのまま取り入れて頂いたり、アレンジしたりして、スキルアップに役立て頂きたいです。
大事なことは練習メニューを知ることではなく、練習メニューをどのように用いて選手を育成していくかに尽きます。一貫した目的意識を持って取り組んで頂ければこの上ない喜びです。
オールコートレイアップ
練習のジャンル
スキルトレーニング(パス、ファストブレイクのライン取り)
フィジカルトレーニング(心肺機能)
実施していた年代
U-18(Junior)カテゴリ
U-16(Cadet)カテゴリ
練習の目的
- ファストブレイクを狙う際のリバウンダーからのアウトレットパスの受け方(ボールミート)、前方へロングパスの出し方を習得するため
- ファストブレイク時のリバウンダー(主にインサイドプレイヤー)、ウィングの各ポジションの走るコースのライン取りを習得するため
- ファストブレイクでのフィニッシュとして、ドライブ、トレーラーへのパスの選択肢を習得するため
- 試合のない時期に、バスケットの動きの中で高負荷トレーニングを行うため
必要な道具
- ボール2つ
- コーン6つ
練習内容の説明
スタート時
上図のように、アウトサイドプレーヤーはどちらかのサイドに片寄って対面になるようにエンドラインに並びます。それぞれの列の2番目のプレイヤーにボールを1つずつ持たせます。
インサイドプレイヤーはどちらかのゴール下のエンドラインに1列に並びます。
上の図内に存在している✖️印の位置にはコーンをそれぞれ置きます。
- まず、青1のプレイヤー(以下略)が逆コートにあるコーン(緑のプレイヤーに近いコーン)を外側から回り込むように走ります。コーンを回ったら対角線上にあるコーンを目掛けて走ります。
- 緑1は青1がコーンを回ったタイミングで逆コートにあるコーン(今度は青のプレイヤーに近いコーン)を外側から回り込むように走ります。青2は緑1が回り込むタイミングに合わせてパスを出します。赤1は緑1がパスを受ける前のタイミング(ハーフラインを過ぎた辺り)で、緩い弧を描くようにコートの真ん中をゴールに向かって走ります。青2はパスを出したら、青1と同じように逆コートのコーンを目掛けて走ります。
- 緑1はパスを受けたら、1度ドリブルを突いて、前を走っている青1に対してゴール下へのループパスを送ります。
- 青1はパスを受けたら、コートの真ん中からゴール下に走り込んで来る赤1(インサイドプレイヤー)にパスを出します。赤1はそのままレイアップシュートに持ち込みます。
赤1がシュートを打った後の状態
- 青1はシュートのボールを拾い、緑3にパスします。その後、コート外に置いてあるコーンを回るように往復ダッシュをします。その後、緑の列の後ろに並びます。
- 赤1はシュートを打ったら直ぐに、もともと並んでいた逆コートに向かって走って帰ります。また、先ほどゴール下にパスを出した緑1は対角線のコーンを目掛けて走ります。
- 青2がコーンを回るタイミングで、緑2は青2にパスを出します。
- パスを受けた青2は1度ドリブルをして、緑1に強く速いパスを出します。
- 緑1はボールをミートして受け、ゴールに対して長いドリブルを1つ突いてレイアップに持ち込みます。赤1はそのボールを床に落とさないようにリバウンドして、青3にパスします。
- シュートを打った緑1は青の列に並びます。赤1は赤の列に再度並びます。
これを2分間×3セット行います。(実際の練習では15人で実施、セット間は1分〜2分)
ココがPOINT!
- コート外のダッシュの際には、置いてあるコーンを回るようにします。上記で紹介したケースでは2往復(コーンが2個のため)ですが、人数に応じて数を増減させると良いでしょう。各列の人数ですが、どうしてもインサイドプレイヤーの人数が少なくなると思います。そのためにコート外にコーンを置いて、アウトサイドプレイヤーの走る負荷を高めています。
- コーンを回るときにパスを受ける選手は、コーンを回る前にパスをする前方の状況を確認しましょう。チラッと見ておくことで、次のドリブルを早くするのか、遅くするのか、判断ができます。ドリブルはタイミングを合わせるためのものです。適当にならないように気をつけましょう。
- ループパスと強く速いパスを明確に使い分けましょう。パサーとレシーバーの距離がポイントです。基本的に遠い場合(ゴール下狙いのパス)はループ、短い場合(ウィングへのパス)は鋭いパスを用います。
- パスは両手でしっかりとキャッチすることが大切です。流れながらプレーせず、しっかりとミートをして、強く長いドリブルを突いて、ゴールに向かって直線的にドライブをすることを目指します。これはファールを狙うためでもあります。疲れると軽く短いドリブルでふわっとしたレイアップになりがちですので、注意しましょう。