バスケのルール バイオレーションについて徹底解説!
本記事では、バスケットボールのルールの一つである、「バイオレーション」について説明していきたいと思います。
対象としては初めてバスケットボールを観戦する方でも分かりやすく理解できるようにバイオレーションを4つの状況別に分けてご紹介しています!
また、現在プレーをしている方や指導をしている方向けには、補足などを盛り込むことで、より詳しく解説もしていますので、是非一度目を通して頂くと、バスケのルールをもっと深く理解できると思います!
それでは一つずつ見ていきましょう!
バイオレーションって何?
そもそもバイオレーションとは一体何なのでしょうか。
バイオレーションとは、バスケットボールの反則、つまりプレーで禁止されている行為を指します。バスケットボールの反則にはファールとバイオレーションの2種類があります。
バイオレーションとは、反則のうちファウル以外のもので、時間に関する反則や、コートのラインの外に出てしまうものなどが代表的です。
バイオレーションをするとどうなるの?
バイオレーションをしてしまった場合には、バイオレーションが起きた場所から最も近いサイドもしくはエンドラインの外側から相手チームのボールとしてスローインが行われます。ただし、バックボードの裏側のエリアは避けます。その際、オフェンス側がバイオレーションを行った場合には、ボールの所有権が相手に移ります。
バイオレーションの種類にはどんなものがあるの?
1.ラインに関するバイオレーション
アウト・オブ・バウンズ
アウト・オブ・バウンズとはなんだか難しく聞こえますが、簡単に言うと、「コートの一番外側の線を踏んだ、あるいは越えて外に出てしまった場合」に宣告されるバイオレーションです。
これには、ボールだけでなく、ボールを持った人がコート外に出てしまった場合も含みます。
また、バックボードの裏や支柱、ワイヤーやバックボードの上に存在する24秒タイマーなどに触れてしまってもこのバイオレーションとなります。バックボードの横や上の部分はセーフですので、バイオレーションと勘違いしてボーっとしないようにしましょう。
(補足)両チームの選手がお互いにボールを取り合っている最中にどちらかの選手がコートの外に出てしまった場合にはジャンプボールシチュエーションになります。
バックコート・バイオレーション
オフェンス側のチームが、「一度フロントコートに入った後に、バックコートにパスやドリブルでボールを戻してしまった場合」に宣告されるバイオレーションです。
(補足)バックコートとはコートをハーフラインによって2つに分けた時、自チームの守るゴールがある側のコートを指します。一方、フロントコートとはその逆で自チームが攻めるゴールがある側のコートを指します。
また、フロントコートに入った後、味方同士でパスをファンブルするなどしてボールがバックコートに戻った場合、そのボールにオフェンス側の選手が触れた時点でバイオレーションとなります。
(補足)ディフェンスが手で弾いたボールがバックコートに戻り、そのボールをオフェンス側の選手が継続して保持した場合にはバイオレーションとはなりません。
ここがPOINT!
パスを味方同士でファンブルして、ボールがバックコートに戻った場合は、とにかく速くボールに触れるようにしましょう。本記事の冒頭でもご説明しましたが、バイオレーションの場合のスローインは、反則が起きた場所に最も近い場所から行われます。最悪、ボールに触れずにボールがコートの外に出てしまうと、「アウト・オブ・バウンズ」のバイオレーションが適用されてしまいます。そうすると、ボールが出てしまった位置からのスローインとなってしまう為、より相手チームは攻めることが楽になってしまうからです。
2.時間に関係するバイオレーション
3秒ルール
「オフェンス側の選手が、ディフェンスが守っているゴール下の制限区域(これをペイントエリアと呼びます)内に3秒以上留まってしまった場合」に宣告されるバイオレーションです。
片足でも入っていれば3秒カウントの対象となりますので、特にゴール下でポジションを取ることの多いインサイドポジションの選手は注意が必要です。両足をペイントエリアから出さなければならないということを確り頭に入れておきましょう。
(補足)以下の場合は反則となりません。
- ペイントエリアから出ようとしている場合
- 自身含め味方がシュート動作中の場合
- 3秒未満ペイントエリアにいたが、シュートを打つ為にドリブルをしていると判断された場合
5秒ルール
以下のケースに該当した場合に宣告されるバイオレーションです。
- スローインをする選手がボールを離すまでに5秒以上かかってしまった場合。
- フリースローの際、審判からボールを受け取った後、5秒以内にシュートを打たなかった場合
- オフェンスでボールを持っている場合に、ディフェンスの選手からタイトなディフェンス(1m以内の距離)を受け、シュート・パス・ドリブルのいずれも行わない状態で5秒以上その場に留まってしまった場合
8秒ルール
バックコートでボールをコントロールした時点から、「8秒以内にボールをフロントコートに入れることができなかった場合」に宣告されるバイオレーションです。
(補足)フロントコートではこのルールは適用されません。
24秒ルール
ボールをコントロールした時点から、「24秒以内にシュートを打つことができなかった場合」に宣告されるバイオレーションです。
オフェンス側の選手は24秒の合図(ホイッスルやブザー)が鳴る前にボールを手から空中に離す必要があります。そして、そのボールが空中にある時点で合図が鳴ったとしても、シュートが成功すれば得点が認められます。
ただし、その離したボールがリングにも当たらなかった場合はこのバイオレーションが適用されます。(バックボードのみに当たった場合はバイオレーションとなります)
つまり、ブザーが鳴る前に、ボールを手から離し、リングに当てれば、24秒バイオレーションを避けることができます。
しかし、私個人の考えとしては、それをオススメしません。無茶なシュート(この場合シュートとは言えませんが)を放つと、相手にボールを取られて悪い形からディフェンスがスタートしてしまうからです。最悪、速攻を出されてしまい、点数を失ってしまう恐れもあります。その為、無理だと判断した場合にはシュートを打たず、相手ボールのスローインから確りとディフェンスを始める方が失点するリスクを下げることができるからです。
3.ボールに関するバイオレーション
トラベリング
「ボールを持った状態でドリブルなどをせずに3歩以上歩いてしまった場合」に宣告されるバイオレーションです。
また、ピボットをしている際に軸足(ピボットフットとも呼ぶ)を地面から離したり、摺り足のようにズラしてしまったりした場合も該当します。
(補足)ピボットって何?
ピボットとは、「コート上でボールを持った選手が、どちらか片方の足を床に着けた状態で、フロアとの接点を変えずに、もう片方の足で何回でもどの方向にでもステップを踏むことができること」を指します。
なんだか難しく聞こえますが、小学校の時に円を描く為に使った「コンパス」をイメージして頂ければ分かりやすいかと思います。針を刺して、もう片方の脚に鉛筆を差し込んで使うあの「コンパス」です。
そして、ピボットフットとはコンパスの脚の「針側」であり、フリーフットとはコンパスの脚の「鉛筆側」を指します。このようなイメージを持って頂ければ理解ができるのではないでしょうか?
特に審判がトラベリングかどうか厳しく見るポイントは「ドライブを仕掛ける際、手からボールが離れる前にピボットフットが動いているかどうか」という点で、動いてしまうとトラベリングが宣告されます。
更に詳しく!
0ステップって何?
ドリブルしながら動いている状態からボールを保持(ギャザーと呼ぶ)した際に地面についている脚を0歩目(ステップ)と呼びます。
ルール変更前は上記の脚を1歩目としていましたが、ルール改正によってそれが0歩目となったことで、1歩分より遠くに移動できるようになったということです。
近年話題となっている「0ステップ」ですが、JBAのルールには以下のように記載されています。
動きながら足がフロアについた状態でボールをコントロールした場合、フロアについている足は0歩目とし、その後2歩までステップを踏むことができる。その場合1歩目がピボットフットとなる。
ちゃんと習得できれば便利な技術ではありますが、一歩間違うとトラベリングのバイオレーションを取られてしまう可能性が非常に高い、難易度のとても高い技術です。1つずつ身体に染み込ませるよう練習を行うことが大切です。
ダブルドリブル
「一度ドリブルを始め、そのボールを保持した後、再度ドリブルをしてしまった場合」に宣告されるバイオレーションです。ドリブルを始めた後、そのボールを両手でドリブルすることも禁止されています。
ただし、一度保持したボールであっても、①シュートを打ったり、②相手選手がボールを弾いたり、③パスやファンブルをしたボールが他の選手に触れたりした場合で、ドリブルをしていた選手がボールコントロールを失った際には再度ドリブルをすることができます。ここでのポイントは「ボールのコントロールを失ったかどうか」です。
さらに詳しく!
バックボードはフロアとして扱われる為、NBAではよく見られる「ドリブルをしてストップしてしまった後にピボットを踏んで、バックボードにボールをぶつけて自らタップシュート」という一連のプレーはトラベリングとなります。ただし、ドリブルをしていない状態から、一度だけバックボードにぶつけてタップシュートを行うことは可能です。それは、バックボードがフロアと同じ概念の為、ドリブルと見做される為です。注意しましょう!
さらに詳しく!
両手でドリブルすることも出来ますが、それはドリブルをしていない状態から「1度だけ」に限定されます(主にポストプレーで強くドリブルを突く必要がある時に用いられます)。
キックボール
「ボールを故意に蹴る場合や足で止めた場合」に宣告されるバイオレーションです。
偶然当たった場合はバイオレーションとなりません。自分でドリブルをしていて自分の足に当ててしまった場合や、相手が立っていて動いていないのに、相手の脚に当ててしまった場合などです。これらはバイオレーションでないので、プレーを止めないように注意しましょう。
(余談)ルールを再確認して初めて知ったのですが、「ボールを拳で叩く行為」も同じくバイオレーションとなるようです…。NBA選手は時々ボール運びの突き出しの際に、ノーマークだと拳で軽くボールを叩いてドリブルをスタートすることがごくたまにあります。特にガードの選手、ボール運びの時にノーマークだからといって、真似をして、バイオレーションとならないように気を付けましょう。
4.得点に関するバイオレーション
ゴールテンディング
「シュートされたボールがリングに向かって落下を始めた後、敵味方に関係なく選手がボールに触れた場合」に宣告されるバイオレーションです。また、シュートされたボールがバックボードに当たった後にも、同様にこのバイオレーションが適用されます。
アリウープはゴールテンディングにならないの?
アリウープの場合、以下の2点から判断してゴールテンディングとはなりません。
- そもそもシュートではなく、パスとして判断される為、ゴールテンディングの対象とならない為
- シュートのコースから判断して、バスケットに入る可能性が無いと判断される為
ルールによると、ゴールテンディングの規定が適用されるのは、以下の状況までとされています。
- ボールがバスケットに入る可能性が無くなる
- ボールがリングに触れる
これらの根拠からアリウープは正当化されています。あとは、それをバイオレーションとしてしまうと盛り下がる、というのも大きな理由の一つではあると思いますが…。
インターフェア
「シュートされたボールがリングに触れている間に、敵味方に関係なく選手がリング、ネット、バックボードに触れた場合」に宣告されるバイオレーションです。
また、既にゴールの中に入っているボールを、ネットの下から手を入れて触った場合にも適用されます。
(ほとんど見かけませんが、リングを掴んだ状態で味方からパスを受けてダンクすることもこのインターフェアに含まれる為、禁止されています。)
ゴールテンディングとインターフェアをするとどうなるの…?
以下の罰則が与えられます。
- オフェンスの選手がバイオレーションをした場合、得点は認められず、相手チームのスローインとなります。
- ディフェンスの選手がバイオレーションをした場合、オフェンスのチームに以下の得点が与えられます。
-
- フリースローの場合は、1点
- ツーポイントフィールドゴールエリアからボールが放たれた場合は、2点
- スリーポイントフィールドゴールエリアからボールが放たれた場合は、3点
さらに詳しく!
各フリースローの最後のシュートの場合(2本打てる時は2本目、3本打てる時は3本目)にディフェンス側の選手がインターフェアをすると、1点が認められるうえ、その選手にテクニカルファールが宣告されます。特に試合の終盤でリバウンドを必死に頑張っている時に起きやすいと思われます。誤ってバイオレーションとならないように注意しましょう。
ゴールテンディングとインターフェアの違いって…?
前者はシュートのボールが落ち始めた時点からリングに当たるまでの期間に適用されます。後者はシュートのボールがリングに触れた、あるいはゴールの中に入った後にゴールを邪魔する行為に対して適用されます。
まとめ
如何でしたでしょうか?
バスケはルールがとても多く複雑なスポーツと考えられてしまうことも多い理由が、バイオレーションやファールなど反則が多い点だと思います。
本記事ではバイオレーションを状況別に4つに整理し、観戦している時にでも分かりやすく理解できるようにご説明することを目的としました。バスケのルールを理解して、皆さんがバスケットボールを更に楽しんで頂くことが出来たら嬉しいです!