【スペイン バスケ】 バスケットボール指導と育成の特徴について(カテゴリ U-12以下)

ステップアップしていく人の図

 本記事では、スペインのバスケの育成現場の特徴についてお話ししたいと思います。実際に現場で見て、聞いて、感じて、考えてきたことです。スペインバスケの育成のリアルがここにあります!是非、皆様の何か気付きとなれば嬉しいです。

 

1.U-12以下のカテゴリとは

1-1.カテゴリの紹介

 日本では小学生に位置する階級で、スペインにおいてもバスケットボールに初めて触れる選手が多い時期に当たります。

 この年代は日本のミニバスケットボールと同様にコートサイズも狭く、リングも低いものが使用されています。ただ、3Pラインを設けるなど、実際のバスケットボールに近づけるように工夫がされています。この年代ではバスケットボールをプレーする為に最低限必要なボールを用いた個人スキルの習得に重点をおいて指導・習得します。次のカテゴリであるInfantil(U-14)以降に初めて正規のコートでの競技になる為、ミニバスケットボールのコートでスペーシングについての指導を行ったとしても感覚がまた少し異なってくるためです。それよりも、1ON1に必要な個人スキルや神経系(コーディネーション)のトレーニングを集中して行うことが中心となります。

 簡潔にまとめると、出来る出来ないに関わらず、バスケットボールにおいて必要となってくるスキルの幅を増やしてあげることバスケットボールに必要な感覚を養うことプレーに創造性豊かな発想が生まれる土台を築くことに重点をおいて習得していきます。

 私が実際に見学したのは9~10歳を対象としたPDPという特別なプログラムで、カタルーニャで有望な選手たちの選抜練習だったということを考慮しても、彼ら選手のスキルは高く、目を見張るものがありました。そのプログラムの詳細についてはまた別の記事にて詳しく紹介していきたいと思います。興味がある方は是非覗いてみてください!

 この年代をスペインでは「Pre-Infantil(U-12)」「Alevin(U-10)」「Benjamin(U-8)」と呼びます。

1-2.育成目標

このカテゴリではどのような選手を育成することを目標としているのでしょうか。 以下の3点に分けて、簡潔にそれぞれ見ていきましょう!

①心(戦術・メンタル)

 どのような状況においてシュート・パス・ドリブルを選択するのか理解すること。
 フロントコートにボールを運ぶために、ボールを速くプッシュする意識をつけること。特に、ドリブルよりパスを優先することを意識づけること。
 1ON1において、相手のディフェンスの状況を見て、逆の方向をつくことができること。

②技(スキル・アビリティ)

 ボールを持った1ON1で目の前のディフェンスをやっつける為に必要な個人技術(シュート・パス・ドリブル)の基礎を身に着けること。
 バックビハインドパスや股の下を抜くパスなど、創造性を必要とするプレーの存在を知り、選択の一つとしての引き出しを増やすこと。
個人だけではなく、味方が関与する場合の個人スキル(例としてボールマンピックやオフボール時のスクリーンの使い方、ディフェンス時のヘッジのやり方など)を習得すること。

③体(フィジカル・コーディネーション)

 神経系のコーディネーションをメインに行い、ボールを扱う感覚を養うことを目指します。

2.練習内容

2-1.主な練習内容

 基本的にはこのカテゴリにおいてはゾーンディフェンスは禁止されており、戦術的要素は多く含まれません。その為、徹底してマンツーマンにおけるオフェンスとディフェンスを練習し、1ON1の強い選手を生み出すことを念頭に入れた指導を行っています。特に今後本格的にバスケットボールを上手くプレーする上で必要になる、一通りのボールを用いた個人スキルの基礎を習得することが目標になっています。

 ※目先の勝利を求めて、ゾーンを取り入れる指導者も中にはいますが、かなり少数です。良い指導者として認められる為には、上のカテゴリで通用する選手を生み出すことが出来るか否かが重要になります。その為、スキル向上を疎かにせず、じっくり丁寧に基礎力の向上に力を注いでいます。

 また、対人の練習としては2ON1や3ON2などアウトナンバーの状況を中心に、「コート上でどこで誰が空いているか」を確りと確認し、攻められることを目指します。アウトナンバーにする目的は、判断の負荷を軽くするためです。また、オフェンスとディフェンスの間にもハンデを設け、オフェンスが有利になるような練習メニューを組み、考え方を定着させることを目的とします。

 ポジション(G,F,C)に関係なく、全ての選手が同じメニューを行います。身長が小さいからポストプレーをしないとか、身長がとても大きいからボール運びやアウトサイドのシュートを打たない、という偏った指導はされません。指導者は常に選手の可能性を拡げるべく、一流の選手になるための基礎を定着させる為に徹底した指導を行っており、それはポジションによって異なるものではないと考えられている為です。

2-2.指導方法の特徴

 バスケットボールを始めて間もない時期であること、論理的思考力が身に着いていないことも踏まえて、リズム(聴覚・感覚的)や実際にやって見せる(視覚)を多めに取り入れる傾向にあります。ただ、一度実演した、もしくは経験した内容の練習メニューについては、2回目以降は言葉で説明する(聴覚・論理的)ことを前提とし、一つ一つ理解してもらうことを大切にしています。

 また、この時期の選手はドリブルを多用する傾向にあります。1ON1での得点が楽しく、発想力も乏しい為です。ただ、それを良しとせず、状況に応じて体得しているスキルに関しては優先順位を意識させる指導も重要となります。それは空いている選手を見つけてパスを出す、ということに他なりません。周りをよく見てパスを出さなければいけない制限を設ける方法や、スペースを限定してドリブルで動くスペースを限定するなどの方法を用いて、得点を生み出す機会を創り出す方法の引き出しを増やしていきます。

 

3.まとめ

 如何でしたでしょうか?

 本記事では、スペインのバスケットボール指導が如何に体系的、論理的に行われているかということを知って頂けたと思います。また、その育成哲学は、ヨーロッパの中でも一歩先んじているのは確かです。強豪ひしめくヨーロッパの大会で常に上位に名を連ねる結果が何よりの証拠です。

 「目の前の勝利より、1カテゴリ上で活躍することを見据えた指導を行う」ことはとてもシンプルですが難しい問題です。 指導者も勿論、プレイヤーも常に一つ上のカテゴリでのプレーをイメージした練習を心がけると、とても良いと思います。その為には「今の時期に何を身に着けて、何が出来ていないのか」ということを自分自身が正確に把握する必要があります。それを助けてくれるのが指導者の方々の役割です。どちらか一方が欠けても、爆発的な上達は見込めません。

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