バスケのディフェンス(オフ・ザ・ボール編)
本記事では、バスケにおけるディフェンスの技術、その中でもボールを持っていない状態のオフェンスを苦しめる基礎技術について解説していきたいと思います。
「ボールを持っていない相手にディフェンス…?そんなの全然怖くないじゃん!ボールを持たれてからバシッと止めればいいんだよ。だって、前回の記事でボールを持ったオフェンスに対しての守り方は確り学んで出来るように練習もしたから!」
前回の記事はこちら↓
【バスケ ディフェンス】1対1が上手くなる ボールマンディフェンスの基本
こういう声が聞こえてきそうです。果たして本当でしょうか…?
どうですか?これに限らず、実際のNBAを見て頂ければ分かると思いますが、バスケットではボールをどうやって貰うか、でオフェンスの8割は決まるといっても過言ではありません。出来る限りゴールの近くで、そして出来る限りディフェンスから遠くの場所でオフェンスはボールを貰おうとします。
ただでさえ後手になりやすいディフェンスが、ボールを持たれた時点でオフェンスが有利な状況だったら止められると思いますか?
ディフェンスの状況による守り方の違い
ディフェンスをする場合、大きく二つの状況に分けることができると考えます。それは「ボールを持っているか否か」ということです。
- ボールがある場合(ボールマンディフェンス)
- ボールが無い場合(ディナイ・ヘッジ・ヘルプディフェンス)
ディフェンスはポジショニング(ポジション取り)で8割決まる!
この言葉を頭に入れて読み進めてください。いつかきっと役に立ちます。
さぁ準備は宜しいですか?
ディナイディフェンス
目的
ディナイディフェンスの目的とはなんでしょうか?それは以下の3点です。
- オフェンスにボールを持たせないこと
- オフェンスにゴールから遠い位置でボールを持たせること
- ボールを持たれた場合にすぐに1アーム(腕1本分)の間合いでボールマンディフェンスに移行できること
ここがPOINT!
- ボールマンに背中を向けること
ボールマンディフェンスと同じようにオフェンスとゴールを結んだ線上に位置する必要はないです。これは何故なのか理由は分かりますか?
正解はディフェンスが自分の身体の幅いっぱいを使うことができるからです。
ゴールに背を向けた状態でディナイをするとディフェンスの守れる領域は下の図のように表すことが出来ます。
しかし、下の図のようにボールマンに背中を見せるようにディナイスタンスを取るとどうでしょうか。身体の幅をいっぱいに使うことが出来るので、その分マークマンのオフェンスはボールを貰う為に長い距離を移動する必要があり、2番目の目的を果たすことができます!
ここでもポジショニングが重要な役割を果たすことがわかりますか?
ポジションを意識するのとしないのとでは守れる領域が全く変わってきます。また、それと同時により少ないエネルギーで効率よく守ることが可能になるのです!
- 重心は後方の足にかけること
バックカットはディナイでされてはいけないことの一つです。常にバックカットをされないように気を配るとともに、万が一されてもすぐに追いつけるように重心を後ろにかけておきましょう
- 自分の身体でなく、上げた手がボールマンからマークマンへのパスコースを塞ぐようにポジションを取る
オフェンスに抜き去られる状態とは「身体が真横に並んだ状態」を指します。その為身体がパスコースに入ってしまうと、すでに抜き去られた状態と全く同じになってしまいます。手だけでパスを出させないくらいのプレッシャーを与えましょう!
次はヘルプディフェンスを紹介します。どんなにボールを持たせる前のディナイを頑張っても、どんなにボールを持たれた後のボールマンディフェンスを頑張っても、抜かれる時は抜かれます。ディフェンスは基本的に後手に回ってしまうことがほぼ全てです。
そんな時でも失点を防ぐ必要があります。勿論チーム毎にディフェンスの約束事は異なりますが、ヘルプディフェンスは個人のスキルであると考えます。それは「正確なポジショニング」と「素早い判断」ができるかどうかなのです。
ヘルプディフェンスはポジション取りが99%!
チームディフェンスの要素ではありますが、個人のスキルでもあります。どんなチームでプレーするとしても、ディフェンスをする際に必須な技術なので、確りと習得しましょう!
ヘルプディフェンス
目的
- ボールを持ったオフェンスの視界に入り、ゴールへのアタックを牽制するため(そもそもドライブをさせない効果)
- 逆サイドのオフェンスがドライブを仕掛けてきた際にペイントエリアへの侵入を防ぐため(ドライブの質を落とす効果)
- 簡単なレイアップシュートを打たせないため(苦しいシュートを打たせる効果)
以上の3点が主な目的になります。
ドライブを「させない・弱める・苦しめる」イメージを持って行いましょう!
ここがPOINT!
ヘルプポジションはポジショニングが全てです。ボールの位置と自分のマークマンの位置を常に確認し、細かくポジショニングの修正を行いましょう!
また、味方のヘルプに飛び出すタイミングは「少し速いかな?」くらいが丁度いいです。ペイントエリアに侵入させないということは、オフェンスがペイントエリアに入る2歩前くらいには動き出し始めないといけません。それはチームのディフェンスの中で味方と一緒に確認することが大切です。
最後にヘッジディフェンスを紹介します。もしかしたら聞いたことが無い方もいらっしゃるかもしれません。私が見てきたスペインのディフェンスではディナイではなく、このヘッジディフェンスを多用していました。小さい頃からポジションについて、徹底的に指導がされてきている選手達ですから、オフェンスにとっては絶妙な嫌な間合いでプレッシャーをかけられる光景がいくつも見られました。
しかし、ヘッジは諸刃の剣でもあり、ポジショニングをマスターしないと逆に危険なディフェンスとなります。
イメージとしては前述のディナイディフェンスと後述するヘルプディフェンスの中間に位置します。
一体ヘッジディフェンスとは何なのか…順を追って見ていきましょう!
ヘッジディフェンス
ボールマンと自分のマークマンの距離感がディナイをするには少し離れている場合、または、ボールマンがスピードがある選手やドライブが得意な選手の場合にも使います。
目的
- ボールマンのオフェンスの視界に入り、ゴールへのアタックを牽制するため(そもそもドライブをさせない効果)
- ドライブして来た選手のボールを叩き、スティールを狙うため(ボールを奪う・コントロールを自由にさせない効果)
- ドライブを仕掛けてきた際にスピードを落とさせるため(ドライブの質を落とす効果)
ここがPOINT!
- 目線をちらちらボールマンに合わせること(見てるぞ、とアピール)
- ドリブルを突いた瞬間にスナップで弾くこと
- 自分のマークマンに一歩(一呼吸)で戻れる範囲を伸ばすこと
以上がオフザボールディフェンスの基本になります。
思った以上に学ぶべきポイントが多かったのではないでしょうか…?
それもそのはず、オフェンスは自由に動いてきますが、ディフェンスは吹かれるファールの種類も多いし、後手になりやすい為、あらゆる状況を想定して最も効率的に動き必要があるからです。
だからこそ、事前に準備しておく。ポジションを確認しておく。ポジションを常に修正する。
しかし、これらの基礎を身に付ければ並大抵のオフェンスは攻めづらいと感じ一歩目を躊躇するようになるでしょう。勿論地道なフットワークも必要です。経験がものをいうこともあるでしょう。
大事なことは「ディフェンスは誰でも上手くなれる」ということです。
地道な努力が大きな差となる、それがディフェンスです!