本記事では、私が実際にスペインのバスケの現場で見てきた「生の」練習メニューをそのまま掲載しております。
是非皆様のバスケチームでもこの練習をそのまま取り入れて頂いたり、アレンジしたりして、スキルアップに役立て頂きたいです。
大事なことは練習メニューを知ることではなく、練習メニューをどのように用いて選手を育成していくかに尽きます。一貫した目的意識を持ってバスケットボールに取り組んで頂ければこの上ない喜びです。
ハーフコート4対4 〜トレースハンドオフ&ポストマンのピック〜
練習のジャンル
総合練習(ハーフコート)
実施していた年代
U-18カテゴリ
練習の目的
- 決まったエントリーから、ディフェンスの状況によってオフェンスを変えることを学ぶため
- コートにいる選手全員がオフェンスイメージを共有した、適切なポジショニングを学ぶため
- 負荷の高い状況でも、判断の質と速さを維持するため
必要な道具
- ボール1つ
練習内容の説明
- 4人1組のチームを3つ以上作ります。
- オフェンスは、TOPと両ウィングの3アウト1インの形からスタートします。
- ①はインサイドプレイヤーの④がいるサイドとは逆サイドのウィングにいる②にパスを出します。
- ①はパスを出したら、パスを受けた②の後ろに移動します。パスを追いかけるようなこの動きを”トレース”と呼びます。②は①に手渡しでパスを返します。
①が手渡しでボールを受け取った後
- ボールを渡した②はTOPの方向に移動し、スペースを空けます。
- ①がボールを受けたタイミングで、ローポストにいた④はハイポストを経由するように動き、①に対してピックをかけます。
- その後はフリーオフェンスとなります。オフェンスが得点を取る、あるいはディフェンスがボールを奪ったら攻守交代です。
- ある1つのチームが決められた点数(10点)を取るまで、ずっとコートに残り続けます。例えばこのケースであれば、青チームは交代することがありません。青チームがディフェンスとなった場合には、違うチームが赤チームの代わりとなってオフェンスに入ります。常にフレッシュな状態のプレイヤーのいるチームと青チームは対戦しなければならないため、負荷を強めることができます。
ココがPOINT!
- オフェンスの例
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- ①が④のピックを使ってミドルサイドドライブ(ハイポストに向かうドライブ)を仕掛けます。そのドライブに対して、自分をマークするディフェンスがペイントエリアを守るように全体的に収縮した場合、アウトサイドで待っている②と③はそれぞれTOP⇨左ウィング、左ウィング⇨左コーナーへとポジションを移動させます。
- ①が④のピックを使ってミドルサイドドライブ(ハイポストに向かうドライブ)を仕掛けます。ディフェンスがディナイを強めた場合、③はバックドアカットを狙います。
- ①は④のピックを使うと見せかけて、ピックとは逆側のサイドを一直線にドライブします。
- エントリーだけの形を決めておいて、そのあとはフリーオフェンスとなります。大切なことは、ディフェンスの対応を見て、オフェンスを選択していくということです。ただ、何もしなければディフェンスはアクションを起こしてきませんので、そのきっかけとしてエントリーでハンドオフやピックを仕掛けるのです。オフェンスが何か動けば、ディフェンスはリアクションを取ります。そのリアクションを見逃さず、ポジショニングを修正しながら、攻めるべきポイントを見つけていきましょう。
- 指導者は得点を獲得するまでの過程で、4人の動きに認識のズレがないのか、しっかり確認しましょう。大切なことは、ゴールまでのイメージをコート上のプレイヤーが共有できているかどうかです。
- また、自分の動きがどんな意図を持っているのか説明できることを目指します。スペースを作る為なのか、囮となる動きなのか、その動きで他の選手がどう動くと思ったのかなどです。かなりレベルが高い話ですが、スペインの高校生達は監督と動きの意味について会話をすることができていました。会話にならないにせよ、動いた目的を簡潔に答えられるように考えてプレーできるように指導しましょう。