【動画解説】2019 全九州春季選手権 バスケ少年男子決勝 福大大濠高校VS福岡第一高校

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2019 全九州 春季選手権 バスケ少年男子決勝 福大大濠高校VS福岡第一高校

 

本記事では、2019 年の春に実施された全九州大会春季選手権少年男子の部決勝「福大大濠高校vs福岡第一高校」の解説を行っています。

私自身は福大大濠高校のOBですので、そちらに肩入れしたいのが本心だったのですが、福岡第一高校のバスケのスタイルがあまりにもスペインバスケのそれと似ていたので、そちらの解説がメインとなっています。

それでは早速見ていきましょう!

 

試合動画


試合レビュー

1P

特に最初の攻撃で60番のセンターによるインサイドでの得点、2回目の攻撃で8番のPGによる外角のシュートでの得点で、大濠はディフェンスの絞りどころを失います。この2回の攻撃を成功させたことで、ディフェンスは後手に回ってしまいます。

そして大濠は痛恨のターンオーバーを犯し、第一が一番得意とするディフェンスからのファストブレイクを出されてしまいます。その後も、ドライブからキックアウトによりノーマークの外角を沈められ、開始1分30秒で0-10のRUNを許します。

これでゲームの主導権は完全に第一が握る形となります。

 

第一のボールマンプレッシャーのレベルは、スペインで見たそれとかなり近い印象を受けました。第一はボールマンへのキャッチアップがめちゃくちゃ速いです。オフェンスが苦労してボールを持ったら、常にディフェンスが1アームの距離でびったりと前についているイメージ。オフェンスには常にプレッシャーがかかっている状態を創り出しています。

異なる点は、スペインではこのレベルのディフェンスをオールコートで40分間続けることが出来る点です。

全国で敵無しの福岡第一レベルにしても、ハーフコートで守っている、つまり、それほど選手には負荷がかかるディフェンスであることは間違いありません。

スペインでは190センチの選手がそのまま持ち込んでダンクシュートを決めることが出来るので、ハーフコートで引いてしまうとそのまま全員抜かれてしまうことが考えられる為だと思います。

 

素晴らしい状況把握、好判断のプレー(福大大濠)

ミスマッチを突いてローポストでボールを受けた後、確りとヘルプディフェンスの様子を確認してステップバックからジャンパーを沈めることが出来ています。

ただし、ここまでの大濠の攻撃は全て“個人技”によるものです。チームで崩すことが出来ておらず、単発の攻撃となってしまっている為、流れを変えるには至りません。

 

基本的に福岡第一はハーフコートでホーンズセットを使用しています。GとCとのピックでズレを創り出した後、逆サイドの選手が効果的なカットをして合わせる他、Gからのキックアウトにより、創ったズレを更に大きくして効果的に攻めています。

コートを目一杯広く使うことで1番最初にピックにより創り出したズレを存分に生かしてボールを持った時点でディフェンスに勝っている状況を作りだしています。

しかし、大濠は単調な1ON1からの得点もしくは外角のショットで終わってしまっています。

ここから第一の怒涛の速攻祭りが開催されます。とにかく速いです。大濠がファストブレイクを出されてしまっている時は以下の場合が該当します。

  1. リバウンドを取った選手にプレッシャーを与えていない時
  2. ガードによるターンオーバーが起きた時
  3. ファーストパスが速く長い時

 

12-28で1P終了。ディフェンスの質の違いを見る限り、この点数差をあと残り30分で追いつける気はしません。

 

2P

このピリオドに入って、大濠はスペースを広く取り、逆サイドへの展開を狙ったスキップパスを多用し、ボールマンへのプレッシャーを緩めようと試みます。

しかし、ボールにプレッシャーをかけ続け、ふわっと浮いたパスを出させることにより、結果としてローテーションのディフェンスがそのパスに追いつくことが出来てしまっています。これをされると誰かが1ON1でディフェンスを1枚破る以外にズレを生み出す選択肢が無くなってしまいます。

約2分間、無得点のこう着状態となりますが、ここで均衡を破ったのは第一でした。

一糸乱れぬ流動的なモーションオフェンス

 

TOPからウィングへパス。

TOPはパス&ゴーでゴールカット。

トレールして来たセンターに一旦ボールを預け、すぐさまハンドオフでボールを受け直します。

すぐに逆サイドの2ガードポジションに展開。

 

※ここまでの一連のプレーにより、ディフェンスは何が起きているのか対応が遅れ、エルボー付近でダマ(点)となってしまっています。

 

TOPからカットしたGはハイポストに上がりアップスクリーンをセンターにかけ、その勢いのままポップアウトしボールミート。

 

※このミートの瞬間でボールを受けた選手と同サイドのウィングの部分で2ON1が出来上がっています。あとはディフェンスの対応を見てプレーを選択するだけです。

 

このパターンではウィングのディフェンスが8番の選手への警戒を強めているので、それを察知したガードの選手はパスを選択。

ウィングの選手はディフェンスが慌てて出てきて、クローズアウトが出来ていないことを見てカウンタードライブでフィニッシュ。

※ヘルプの選手はセンターへのパスを警戒して出られませんでした。

この攻撃から第一は再度リズムを取り戻します。残り8分まで0-2のRUNだったのですが、そこからたったの4分間で0-14のRUNとなり、勝負ありです。

 

スキップステップによる加速ドライブ

 

第一の8番や46番が多用しているのがこのスキップステップです。大濠のディフェンスも初めは間合いを詰めているのですが、このステップにより、ドライブを警戒せざるを得なくなります。その結果間合いが1.5~2アーム空いてしまっている為、その間合いの中で好き放題なプレーをされてしまっています。

大濠はスキップパスを使ってズレを作ろうとコートビジョンを保とうとしますが、インサイドへの合わせの動きが無い為、効果的なズレを創り出すことが出来ず、結果として外角からシュートをポコポコ打ってるだけのオフェンスとなってしまっています。

大濠もチームで作ったズレから3Pを沈めるシーンがありますが、その直後の第一のオフェンスが圧巻の一言でした。

 

スキップステップ→ヘジテーション→逆サイドへの高速キックアウト

 

縦に鋭くパスをつなぎフロントコートへ簡単にボールを運んだ後、46番の個人技。

とくにヘジテーションから逆サイドに横一閃の鋭いパスが出せるビジョンが素晴らしい。

ヘジテーションの時に常に逆サイドを確認する習慣がついていることが良くわかるプレーです。

2Pは18-50と福岡第一がリードして前半終了(このピリオドは6-21と福岡第一がリード)



 

3P

大濠は出だしの攻撃で軽快なパス回しからコーナーで打たせたい選手に3Pを決めさせることに成功します。そして、直後の第一のセットオフェンスに対しても集中したディフェンスを見せます。ここで流れを持ってこられる局面か…と感じたのですが、衝撃のプレーがここで飛び出します。

 

ホーンズセットミス→個人技によるリカバー

 

 

左後方に引くドリブルで駆け引きの猶予を貰えるスペースをクリエイト、右ドライブと見せかける幅の広いクロスオーバーを入れて、確りと自分のシュート態勢に持ち込むことが出来ています。その基礎は強靭な足腰。特にドライブと見せかけた時点で身体が前傾していない点が素晴らしい。ハイレベルな体幹を備えていることが伺えます。

 

これはそうそう止められるレベルにはありません。決めた選手を褒める他ありません。

 

おしゃれなドリブルから合わせ

 

ちょっと失敗気味で、後ろのスペースに出した方がきれいに流れたかもしれませんが、こういった発想力はとても大事だと思います。

昔はこういうプレーを大濠の選手がやっていたのだけどなぁ…。

 

 

ウィングの動き方

 

ローポストがコーナー方向に押し出された時に、オフェンス同士が近づきすぎてしまうことを瞬時に判断し、スペーシングを意識してゴールカットを選択できています。結果、そのままレイアップを決めることができました。

 

その後も堅い福岡第一高校の前に大濠は攻め手を欠きます。全く逆転の糸口をつかめないまま、最後のオフェンスでも無理やりな態勢からシュートを狙い、残り5秒からファストブレイクを出されてしまうという痛恨の終わり方をしてしまいます。気持ちは完全に切れてしまっています。

3P終了時点で34-80と福岡第一がリード(このピリオドは16-30と福岡第一がリード)

 

4P

このピリオド、福岡第一のコート上のメンバーは全て控え選手となります。

しかし、若干ボールマンのピックアップが遅くなるも、ほとんど質の変わらないプレッシャーディフェンスから、ハーフコートのモーションオフェンスによるスペーシングバスケットを展開します。

福大大濠はフレッシュなプレーヤーによるプレッシャーの継続により、集中力を欠き始めます。これでは福岡第一の思うつぼです。まさにゲームプラン通りの試合運びと言えるでしょう。

 

残り2分頃から大濠は前線からプレッシャーディフェンスをかけ、なんとか失点を100点の大台に乗せないように懸命にプレーをします。

個人的にはこのレベルの当たりを福岡第一の8番のガードの選手に対しても行わなければならないと考えます。ものすごく上手い選手で、特に間合いを瞬時に詰めるスピードや駆け引きにより、ディフェンスの間合いを一定に保つことがとにかく難しいですが、コースを限定する等、なんらかの選択肢を奪うように守っていくほかないのではないでしょうか。

 

最終スコアは60-98で福岡第一の勝利(このピリオドは26-18で福大大濠リード)



 

 まとめ

おそらく、現段階で福岡第一に勝てる高校は無いのではないでしょうか…

それほどにまで完成されたバスケット。スペインで見たプレッシャーディフェンスに近いものを映像で感じることが出来ました。恐らく体育館で観戦すると、相当ハードなディフェンスをしているのでしょう。

しかし、それでもハーフコートのディフェンスです。スペインではミニバスのカテゴリから、常にオールコートでボールにプレッシャーを与え続けます。何があってもかけ続けます。ヘルプ&ローテーションの速さも比ではありません。それもガード以外の選手はほぼ190センチオーバーです。

福大大濠の選手は大型で、これからの未来を担う選手達ばかりなのでしょう。しかし、第一の選手に比べて、徹底度に顕著な差が見受けられました。今までは能力に頼った1ON1で勝ってこれたのですが、バスケットボールを徹底してプレーしてくるような相手だと、なかなか個人で打開することは厳しくなります。

意識的にコートを広く使うプレーを選択していることは感じ取れましたが、徹底度がそのままバスケットの質の差に繋がっているように見受けられました。

しかし、大濠には大濠のスタイル、第一には第一のスタイルがあるはずですので、違いがあって良いと思いますし、それでこそバスケは面白いです。しかし、ディフェンスの質とプレーの徹底度はスタイルの違いではありません。第一は常に堅守速攻のスタイルで勝ち上がってきているのでしょう。だから、ブレないバスケットが展開できるのです。

第一のディフェンスは大濠の速攻を潰し、自分たちの速攻を創り出す起点となっています。第1~3ピリオドで大濠は速攻を決めることが出来たのは多くて3本程度なのではないでしょうか。

以前にも少し触れましたが、オフェンスリバウンドに絡むことでリバウンドからの速攻を防ぐ効果があります。リバウンドから既にディフェンスは始まっており、リバウンドを取った選手に対してのプレッシャーとそれを受ける選手の迅速なキャッチアップで速攻の芽を摘み取っています。

また、大きな選手が来る前に攻め切る。第一のボールプッシュはとても速く直線的です。これが最も重要な点です。オールコートの展開を速くし、ハーフコートでは徹底したスペーシングバスケット。まさにスペインバスケのスタイルに重なっています。

 

日本のバスケットスタイルにスペインの長所を絡めていこうとする試みなのではないでしょうか?それがどのようなものなのか、夏のインターハイや冬のウィンターカップで更に成長し、完成した福岡第一高校を見ることが楽しみで仕方ないです!

 

スペインのバスケットから取り入れられる要素はまだまだ沢山あると思います。

是非何かの気づきとなれば嬉しいです!

 

 

 

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